最近、アーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズの冒険』を読み終えました。

シャーロック・ホームズといえば、もちろん名前は昔から知っていますし、映画やドラマなどで何となく馴染みのある人物です。 ただ、原作をきちんと読む機会はこれまであまりありませんでした。
実際に読んでみると、一話一話が比較的短く、思っていた以上に読みやすい作品でした。
ホームズがほんのわずかな服装や持ち物、しぐさなどから、その人の職業や生活背景まで次々と推理していくところは、今読んでもやはり面白いものです。
そして今回、ホームズについて少し調べていて、眼科医として個人的に興味深いことを知りました。
作者のコナン・ドイルは医師でした

Elliott & Fry / Public Domain / Wikimedia Commons
コナン・ドイルは小説家になる前、医師として診療していました。
さらに1891年にはウィーンで眼科を学び、ロンドンで眼科診療を始めています。
ところが、この眼科診療はあまり患者さんに恵まれなかったようです。
その後、医業を離れて執筆に専念するようになり、ちょうど同じ1891年から『ストランド・マガジン』でシャーロック・ホームズの短編が掲載されるようになりました。
今では世界中で知られているシャーロック・ホームズですが、その背景に 「眼科医になろうとしていたコナン・ドイル」 がいたというのは、眼科医としては少し親近感を覚える話です。

ホームズシリーズには眼科に関係する話も
今回読んだ『シャーロック・ホームズの冒険』には出てきませんが、シリーズの別の作品には、眼科に関係するものも登場するそうです。

Sidney Paget / Public Domain / Wikimedia Commons
例えば『銀星号事件』では白内障手術に使うような小さな手術用ナイフが登場し、『瀕死の探偵』では、ホームズが病人を装うためにベラドンナを使う場面があります。
ベラドンナと聞くと一般の方には馴染みがないかもしれませんが、眼科で昔から使われてきたアトロピンと関係の深い植物です。
また、『金縁の鼻眼鏡』では眼鏡そのものが推理の重要な手掛かりになります。
眼科医だった経験が、こうした細かな小道具の選び方にも少し影響しているのかもしれません。
現実の事件でも「眼」が手掛かりに
さらに面白いのは、コナン・ドイル自身も実際の事件で、眼の状態を手掛かりの一つにしていたことです。
ある冤罪事件では、被疑者が新聞を非常に眼に近づけて読む様子から強い近視と乱視があることに気付き、 「この視力で暗闇の中を移動して犯行を行うことが本当にできたのか」 と疑問を持ったとされています。
小説の中だけでなく、現実の事件でも観察力と医学的な知識を使って考えていたというのは、なかなか興味深い話です。
また次のホームズへ
今回はまず『シャーロック・ホームズの冒険』を読み終えました。
一つ一つの事件そのものを楽しむだけでなく、 「この作者は医師だったんだな」 「眼科にも関わっていたんだな」 と思いながら読むと、また少し違った楽しみ方ができます。
今回の短編集には、白内障手術用のナイフやベラドンナなどの眼科に直接関係する場面は出てきませんでしたが、そうした話が別の作品にあると知ると、今後も少しずつ続きを読んでみたくなりました。
診療とはあまり関係のない話になりましたが、ときどきこんな本の話も書いてみたいと思います。


