
幼稚園や保育園の先生から、
「目が赤いので、一度眼科を受診してください」
と言われて来院されるお子さんは少なくありません。
当院では、診察の結果、流行性角結膜炎ではないケースも多くみられます。目の充血にはさまざまな原因があり、赤いからといって、必ずしも「はやり目」とは限りません。
ただし、流行性角結膜炎は非常に感染力が強く、家庭や学校、職場で感染が広がりやすい病気です。周囲にうつる病気かどうかを確認し、適切に対応することが大切です。
この記事では、はやり目の症状や治療、学校・仕事を休む目安、周囲にうつさないための対策について、眼科の立場から分かりやすく説明します。
1.はやり目とは?季節と感染経路
流行性角結膜炎は、アデノウイルスによって起こる目の感染症です。一般に「はやり目」と呼ばれています。
夏に多い病気というイメージがありますが、夏だけの病気ではなく、一年を通して起こります。季節にかかわらず注意が必要です。
主に、ウイルスが付いた手で目を触ることによって感染します。目やにや涙が付いたタオルなども感染源になります。

2.はやり目の症状

感染してから症状が出るまでには、約1週間が目安です。主な症状は次のとおりです。
- 白目の強い充血
- 目やにや涙の増加
- まぶたの腫れ
- 目のゴロゴロ感や痛み
片方の目から始まり、数日後にもう片方にも症状が出ることが多いですが、両目にほぼ同時に症状が出る場合もあります。
耳の前のリンパ節が腫れ、触ると痛むこともあります。
3.赤みが引いた後も、見えにくさが残ることがあります
流行性角結膜炎では、炎症が黒目(角膜)に及び、強い痛みや、まぶしさ、かすみなどが出ることがあります。
充血や目やにが改善してきた頃に黒目に濁りが現れ、見えにくさが長引く場合もあります。
強い痛みや見えにくさがある場合、また、赤みが引いてもかすみやまぶしさが続く場合は、眼科へご相談ください。
4.ウイルスに直接効く特効薬はありません
原因となるアデノウイルスに直接効く特効薬はなく、体の免疫によって回復していきます。
目の状態に応じて、炎症を抑える点眼薬や、細菌の二次感染を予防・治療するための抗菌薬(抗生剤)の点眼を使います。
抗菌薬は、アデノウイルスそのものに効く薬ではありません。
点眼を始めても、すぐに治ったり、人にうつらなくなったりするわけではありません。症状が軽くなっても感染力が残っている場合があるため、治療中も感染対策を続けましょう。
5.学校や仕事は、いつから再開できる?
学校・幼稚園・保育園について
はやり目にかかった場合は、周囲への感染を防ぐため、学校や幼稚園・保育園を休む必要があります。
登校・登園は、医師が感染のおそれがないと判断してから再開します。
仕事について
医療関係のお仕事でも、患者さんや同僚への感染を防ぐため、出勤を控える必要があります。
そのほかのお仕事も、会社の規則や医師の指示に従って、必要な期間は休んでください。特に介護・保育など、人と密接に接するお仕事では慎重な対応が必要です。
「目やにが減った」「赤みが薄くなった」という段階は、症状が完全になくなった状態とは異なります。
症状が軽くなっても感染力が残っている場合があるため、自己判断で復帰を急がないようにしましょう。
学校・園や勤務先で、復帰にあたって医師の判断や書類が求められる場合は、その規定に従ってください。診察や書類が必要な場合は、来院前に当院へお問い合わせください。

6.人にうつさないために、目に触らず、手洗いを
なるべく目に触らないようにしましょう
感染を広げないためには、なるべく目に触らないことが大切です。目を触った手から、周囲の物や人へウイルスが広がります。
アルコール消毒だけに頼らず、石けんと流水で手洗いを
アデノウイルスは一般的なアルコール消毒が効きにくいため、アルコールだけに頼らず、石けんと流水で丁寧に手を洗いましょう。
当院では、
「普段20秒くらいで洗っているなら、感染中は2分くらいかけるつもりで」
と、普段より時間をかけて丁寧に洗うことをお伝えしています。
指先や爪の周り、指の間、親指など、洗い残しやすいところまで丁寧に洗い、流水で十分にすすいでください。
特に、目に触れた後や目やにを拭いた後は、しっかり手を洗いましょう。ご本人だけでなく、ご家族も手洗いを心がけてください。
タオルや点眼薬は共有しないでください
タオルや枕、点眼薬は本人専用にし、ほかの人と共有しないでください。目やにを拭いたティッシュは、その都度捨てましょう。
目やにや涙が付いたタオルは、当院では、ほかの洗濯物とは分けて洗うことをお勧めしています。洗濯表示に従って洗い、十分に乾かしてください。
使用済みのタオルを扱った後も、丁寧に手を洗いましょう。
7.発熱やのどの痛みを伴う場合は
同じアデノウイルスによる病気に、咽頭結膜熱(プール熱)があります。
流行性角結膜炎は目の症状が強いことが多い一方、咽頭結膜熱は発熱・のどの炎症・結膜炎を主な症状とします。
咽頭結膜熱は主にお子さんにみられますが、大人がかかることもあります。
目の症状に加えて発熱やのどの痛みがある場合は、咽頭結膜熱も疑われるため、当院では、お子さんは小児科、大人の方は内科の受診をお勧めしています。
咽頭結膜熱の登校・登園の基準は、原則として発熱・のどの炎症・結膜炎などの主要症状が消失した後、2日を経過するまでです。診断された病気に応じた案内に従ってください。
8.よくあるご質問(Q&A)
Q. 目が赤いと、必ずはやり目ですか?
いいえ。充血にはさまざまな原因があります。園や学校から受診を勧められて来院されても、流行性角結膜炎ではないケースも多くみられます。周囲にうつる病気かどうか、眼科で確認しましょう。
Q. 点眼を始めたら、学校や仕事に行けますか?
点眼を始めても、すぐに感染力がなくなるわけではありません。症状が軽くなっただけで復帰を急がず、医師の指示と学校・園や勤務先の規定に従ってください。
Q. 人にうつさないためには、何が大切ですか?
なるべく目に触らないことと、石けんと流水による丁寧な手洗いです。目に触れたり、目やにを拭いたりした後は、特にしっかり手を洗ってください。タオルや点眼薬も共有しないようにしましょう。
Q. アルコールで手を消毒すれば大丈夫ですか?
アデノウイルスは一般的なアルコール消毒が効きにくいため、アルコールだけに頼らず、石けんと流水で手を洗ってください。
Q. 赤みは治まったのに、目がかすみます。放っておいて大丈夫ですか?
流行性角結膜炎では、赤みが改善した後も黒目に濁りが残り、かすみやまぶしさが続く場合があります。見えにくさがあるときは、眼科へご相談ください。
9.まとめ
目が赤いからといって、必ずしもはやり目とは限りません。一方で、流行性角結膜炎は非常に感染力が強いため、周囲にうつる病気かどうかを確認することが大切です。
目の充血や目やにがあるときは、はやり目かどうかを自己判断せず、眼科で確認することをお勧めします。周囲にうつる病気かどうかを確認することが、ご本人の治療と感染を広げないための対策につながります。
はやり目と診断された場合は、なるべく目に触らず、石けんと流水で丁寧に手を洗い、タオルや点眼薬を共有しないようにしましょう。学校や仕事への復帰も、症状が軽くなっただけで急がないことが大切です。
強い痛みや見えにくさがある場合、また、赤みが引いた後もかすみやまぶしさが続く場合は、眼科へご相談ください。
いしの眼科クリニックを受診される際は、事前に「はやり目かもしれない」とお伝えいただき、来院時はスタッフの案内に沿って受診をお願いします。

参考資料
- 日本眼科医会「ウイルス性結膜炎」
- 東京都感染症情報センター「流行性角結膜炎」
- 日本小児科学会「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説」



