「子どもの近視がどんどん進んでいる」
「オルソケラトロジーという治療を聞いたけれど、どんな治療なの?」
「近視の進行を抑える効果もあるの?」
このような疑問をお持ちの保護者の方も多いのではないでしょうか。
オルソケラトロジーは、就寝中に特殊なハードコンタクトレンズを装用し、日中の裸眼視力を改善する近視矯正治療です。
さらに近年では、単に「日中を裸眼で過ごせる」というだけでなく、成長期のお子さんの近視進行を抑える治療法の一つとして注目されています。
今回は、オルソケラトロジーの仕組みや近視進行抑制効果、メリット・デメリット、どのようなお子さんに向いているのか、費用、実際に治療を始めるまでの流れについて、枚方市・樟葉の「いしの眼科クリニック」が分かりやすく解説します。
オルソケラトロジーとは?

通常のコンタクトレンズは、日中に装用している間、レンズの力によって視力を矯正します。
一方、オルソケラトロジーでは、夜寝る前に専用のハードコンタクトレンズを装用し、朝起きたらレンズを外します。
特殊な形状のレンズを就寝中に装用することによって角膜の形を一時的に変化させ、朝レンズを外した後も近視が矯正された状態を維持します。
そのため、効果が安定すると日中は眼鏡やコンタクトレンズを使用せず、裸眼で生活することが可能になります。
特に軽度~中等度の近視では効果が得られやすい治療です。

💡 大切なポイント
オルソケラトロジーはレーシックのように角膜を永久的に変える治療ではありません。レンズの装用を中止すると角膜は徐々に元の状態へ戻り、近視も元の状態へ戻っていきます。
つまり、オルソケラトロジーは「近視そのものを治してしまう治療」ではありません。
オルソケラトロジーが子どもの近視進行抑制に使われる理由
現在、オルソケラトロジーが特に注目されている理由の一つが、子どもの近視進行を抑える効果です。
子どもの近視の進行には、成長とともに眼球が前後方向に長くなる「眼軸長(がんじくちょう)」の伸びが大きく関係しています。
一般的な眼鏡やコンタクトレンズは、見え方を良くすることはできますが、それだけでは眼軸長の伸びを十分に抑えることはできません。
一方、オルソケラトロジーを使用したお子さんでは、通常の眼鏡やコンタクトレンズで矯正したお子さんと比較して、眼軸長の伸びが抑えられることが多くの研究で報告されています。
📘 近視進行抑制効果の目安
研究によって結果には幅がありますが、当院では一般的な目安として、通常の眼鏡やコンタクトレンズと比較して30~60%程度の近視進行抑制効果が報告されている治療としてご説明しています。
ただし、これは「オルソケラトロジーをすれば近視がまったく進まなくなる」という意味ではありません。
効果には個人差があり、治療を行っていても近視が進行することはあります。
大切なのは、定期的に視力や眼軸長などを確認しながら、そのお子さんの近視がどの程度進んでいるのかを継続して評価することです。
オルソケラトロジーのメリット
✓ 1.日中を裸眼で過ごせる
オルソケラトロジーの大きな特徴です。
夜間にレンズを装用するため、効果が安定すれば朝にレンズを外した後は、眼鏡やコンタクトレンズなしで学校生活を送ることができます。
「眼鏡をできるだけかけたくない」というお子さんにとっては、大きなメリットになります。
✓ 2.スポーツとの相性が良い
サッカー、野球、バスケットボール、水泳などでは、眼鏡が邪魔になったり、通常のコンタクトレンズを使いにくかったりすることがあります。
日中に何も装用する必要がないオルソケラトロジーは、スポーツをしているお子さんにも相性の良い治療です。
✓ 3.子どもの近視進行抑制が期待できる
オルソケラトロジーは単なる視力矯正だけではありません。
成長期のお子さんでは、将来の近視をできるだけ強くしないことを目的とした近視進行抑制治療として使用できます。
✓ 4.手術ではなく、中止することもできる
レーシックのように角膜を削る治療ではありません。
レンズの装用を中止すれば、時間とともに角膜の形や近視の状態は元に戻っていきます。
オルソケラトロジーのデメリット・注意点
オルソケラトロジーには多くのメリットがありますが、誰にでも簡単にできる治療というわけではありません。
デメリットや注意点も理解したうえで治療を始めることが大切です。
⚠ 1.原則として毎晩のレンズ装用が必要
裸眼視力を維持するためには、基本的に就寝中のレンズ装用を継続する必要があります。
装用を休むと角膜は徐々に元の形へ戻り、裸眼視力も低下してきます。
⚠ 2.毎日のレンズ管理が必要
オルソケラトロジーもコンタクトレンズです。毎日の洗浄・保存など、適切なレンズケアが必要です。
特に小さなお子さんの場合には、保護者の方の協力が非常に重要になります。
⚠ 3.角膜障害や感染症のリスクがある
通常のハードコンタクトレンズと同様に、角膜に傷がついたり、結膜炎や角膜障害などを起こしたりすることがあります。
また、頻度は高くありませんが、不適切なレンズ管理などによって角膜感染症を起こす可能性もあります。
⚠ 安全に続けるために
正しいレンズケアを行うこと、異常があれば装用を中止して受診すること、定期検診をきちんと受けることが非常に重要です。
⚠ 4.すべての近視に対応できるわけではない
オルソケラトロジーは、一般的には軽度~中等度の近視に向いています。
当院ではおおむね-5D程度までを一つの目安としていますが、実際に治療が可能かどうかは近視度数だけでは決まりません。
乱視の程度や角膜形状、眼の状態などを詳しく検査したうえで判断します。
どんなお子さんにオルソケラトロジーが向いている?
例えば、次のようなお子さんでは良い選択肢になる可能性があります。
- 軽度~中等度の近視がある
- 最近、近視が進行している
- 日中はできるだけ眼鏡をかけずに過ごしたい
- スポーツをしている
- 規則的な睡眠時間を確保できる
- 本人と保護者がきちんとレンズ管理をできる
一方で、次のような場合にはオルソケラトロジーが適さないことがあります。
- 強度近視や強い乱視がある
- 角膜疾患や角膜形状の異常がある
- 強いドライアイやアレルギー性結膜炎がある
- 睡眠時間が極端に不規則
- レンズ管理を安全に行うことが難しい
「うちの子はできるのかな?」という段階で、保護者の方が判断する必要はありません。
実際には適応検査を行い、眼の状態や近視の程度、生活スタイルなども含めて総合的に判断します。
オルソケラトロジーは何歳からできますか?
「何歳になったら必ずできる」という明確な年齢だけで決まる治療ではありません。
年齢だけでなく、近視の程度、乱視の程度、角膜の状態、ご本人がレンズ装用に協力できるか、ご家庭で安全にレンズ管理ができるかなどを総合的に判断します。
特にお子さんの場合には、保護者の方と一緒に安全にレンズを管理できることが重要です。
当院では約1週間、実際にオルソケラトロジーを「お試し」できます
「本当に朝になったら見えるの?」
「寝るときにハードコンタクトレンズを入れられる?」
「子どもが嫌がらずに続けられる?」
「高い治療を始めてから、やっぱり無理となるのが心配」
オルソケラトロジーを検討される保護者の方から、よく聞く不安です。
そこで当院では、適応検査で問題がなければ、いきなり本治療を開始するのではなく、約1週間のトライアル期間を設けています。
- レンズの装着・取り外しができるか
- 寝ている間に問題なく使用できるか
- 朝の裸眼視力がどの程度改善するか
- お子さんが無理なく続けられそうか
- ご家族がレンズ管理を継続できそうか
そのうえで、実際に続けられそうだと確認してから本治療へ進むことができます。
当院でのオルソケラトロジー治療の流れ
▶ STEP1 適応検査
視力や近視度数だけでなく、角膜の形状や眼の状態などを詳しく検査し、オルソケラトロジーに適しているか確認します。
▶ STEP2 トライアルレンズの装用・練習
適応に問題がなければ、トライアルレンズを使用します。レンズのつけ方・外し方、使用上の注意、毎日のレンズケアについて説明し、実際に練習します。
▶ STEP3 約1週間のお試し
ご自宅で実際にオルソケラトロジーを使用していただきます。視力の改善だけでなく、毎晩無理なく続けられそうかどうかも確認します。
▶ STEP4 本治療開始前の検査
お試し期間終了後、眼の状態や裸眼視力を確認します。結果をご説明し、ご本人・保護者の方にも治療を続けたいというご希望があれば、本治療へ進みます。
▶ STEP5 本治療開始
ご本人に合ったオルソケラトロジーレンズで、本治療を開始します。
▶ STEP6 定期検診
治療開始後は眼やレンズの状態を確認します。
視力が安定してからも、原則として3か月ごとの定期検診を行い、裸眼視力だけでなく、角膜の状態や近視の進行について継続的に確認します。
当院で使用しているオルソケラトロジーレンズ

当院では、シード社製「ブレスオーコレクト」を使用しています。
高酸素透過性素材が使用され、日本人の角膜形状を考慮したレンズデザインとなっています。
オルソケラトロジーでは、単に「レンズを入れればよい」のではなく、一人ひとりの角膜形状に合ったレンズを適切に使用することが重要です。
オルソケラトロジーの費用は?
オルソケラトロジーは健康保険が適用されない自由診療です。
当院では、治療を続けていただきやすいよう、定額制レンタルプランをご用意しています。
¥ 定額制レンタルプラン
- 片眼:月額4,980円(税込)
- 両眼:月額9,480円(税込)
- 適応検査代:5,500円
- お試し装用代:片眼20,000円/両眼25,000円
- 定期検査代:22,000円/年
- 別途、オルソケラトロジー専用ケア用品代が必要です
定額制プランでは、1枚につき年2回まで、度数変更や保証対象となる破損時のレンズ交換保証があります。
一括レンタルプランもご用意しています。
治療開始時に必要となる費用や、その後の費用については、当院の近視進行抑制治療のページでも詳しくご案内しています。
オルソケラトロジーとリジュセアミニ点眼、どちらがいい?
当院では、お子さんの近視進行抑制治療として、オルソケラトロジーのほかに低濃度アトロピン点眼(リジュセアミニ点眼液0.025%)も行っています。
どちらも近視進行を抑えることを目的とした治療ですが、特徴は異なります。
オルソケラトロジーの特徴
オルソケラトロジーには、「近視進行を抑える」+「日中の裸眼視力を改善する」という2つの特徴があります。
近視進行抑制効果についても、多くの研究で眼軸長の伸びを抑える効果が確認されており、低濃度アトロピン点眼と比較しても高い抑制効果を示した研究があります。
一方で、毎晩コンタクトレンズを装用し、毎日のレンズ管理を行う必要があります。
リジュセアミニ点眼の特徴
リジュセアミニ点眼液0.025%は、1日1回、就寝前に点眼する近視進行抑制治療です。
コンタクトレンズの装用や管理が必要ないため、オルソケラトロジーに比べて始めやすく、継続しやすいことがメリットです。
ただし、リジュセアミニは近視の進行を抑える治療であり、現在ある近視を矯正するものではありません。そのため、必要に応じて日中は眼鏡などによる視力矯正が必要です。
オルソケラトロジーと低濃度アトロピン点眼は併用することもできます
🔵 ここはとても大切なポイントです。
オルソケラトロジーと低濃度アトロピン点眼は、「どちらか一方しか選べない治療」ではありません。
必要に応じて、両方を併用することも可能です。
これまでの研究では、オルソケラトロジー単独と比較して、低濃度アトロピン点眼を併用することで、さらに眼軸長の伸びを抑えられる可能性が報告されています。
- まず低濃度アトロピン点眼から始める
- オルソケラトロジーを単独で行う
- 近視の進行が速い場合などに両者の併用を検討する
近視の程度や進行速度、年齢、生活スタイル、ご本人・ご家族の希望などを考えながら治療方法を選択していきます。
「オルソケラトロジーとリジュセアミニのどちらが一番良いのか」と単純に考えるのではなく、そのお子さんに、どの治療あるいはどの組み合わせが適しているのかを考えることが大切です。
よくあるご質問
Q.オルソケラトロジーで近視は治りますか?
近視そのものを永久に治す治療ではありません。
レンズを使用している間は日中の裸眼視力を改善できますが、装用を中止すると角膜の形は徐々に元に戻り、近視も元の状態に戻っていきます。
お子さんの場合には、それとは別に、「将来の近視をできるだけ強くしない」という近視進行抑制効果を期待して使用します。
Q.毎晩つけないといけませんか?
基本的には継続した夜間装用が必要です。装用を休むと徐々に裸眼視力が低下してきます。
Q.オルソケラトロジーは痛くないですか?
ハードコンタクトレンズですので、初めは異物感を感じることがあります。
ただし、オルソケラトロジーは主に目を閉じている就寝中に使用するため、日中にハードコンタクトレンズを装用する場合とは感じ方が異なります。
Q.強い近視でもできますか?
近視が強くなるほど、十分な矯正効果を得にくくなります。
当院では-5D程度までを一つの目安にしていますが、近視度数だけでは判断できません。乱視や角膜形状なども含めて、適応検査で判断します。
Q.オルソケラトロジーをしていても近視は進みますか?
進むことはあります。
オルソケラトロジーは近視進行を抑える効果が期待できる治療ですが、近視の進行を完全に止める治療ではありません。
そのため定期検診で近視の進行状態を確認し、進行が速い場合には低濃度アトロピン点眼との併用など、治療方法を再検討することもあります。
子どもの近視は「今、見えているか」だけの問題ではありません
近視は「眼鏡をかければ見えるから大丈夫」と考えられがちです。
しかし、近視が強くなるほど、将来的に網膜剥離、緑内障、近視性黄斑症など、視力に大きな影響を与える眼疾患のリスクが高くなることが知られています。
👁 大切なのは、「今見えるようにすること」だけではありません。
成長期のお子さんでは、将来の近視をできるだけ強くしないことも重要です。
オルソケラトロジーは、そのための有力な選択肢の一つです。
しかし、すべてのお子さんにオルソケラトロジーが最適というわけではありません。
低濃度アトロピン点眼など他の近視進行抑制治療も含め、一人ひとりの近視の状態や生活スタイルに合わせて、安全に、無理なく継続できる治療を選ぶことが大切です。
枚方市・樟葉でオルソケラトロジーをご検討の方へ
いしの眼科クリニックでは、お子さんの近視進行抑制治療としてオルソケラトロジーを行っています。
治療開始前には詳しい適応検査を行い、約1週間のお試し期間を設けたうえで、本治療を開始するかどうかをご判断いただけます。
また、オルソケラトロジーだけでなく、低濃度アトロピン点眼(リジュセアミニ点眼液0.025%)などの近視進行抑制治療にも対応しています。
「子どもの近視が最近進んできた」
「オルソケラトロジーがうちの子に向いているか知りたい」
「リジュセアミニとオルソケラトロジーのどちらが合うのか知りたい」
「現在治療しているけれど、近視の進行が速いので併用治療について相談したい」
といった段階でも構いません。
お子さんの眼の状態や近視の進行状況を確認したうえで、それぞれの治療の特徴をご説明し、適した方法を一緒に考えていきます。
枚方市・樟葉周辺で、お子さんのオルソケラトロジーや近視進行抑制治療をご検討の方は、お気軽にご相談ください


