白内障手術、いつ受ける?

「白内障と言われましたが、いつ手術を受けたらよいのでしょうか?」

診察で、よくいただく質問です。

最初にお伝えしたいのは、白内障手術の適切な時期は、一人ひとり異なるということです。「この視力になったら手術」「白内障と診断されたら早く手術」と、一律に決められるものではありません。

見え方や日常生活での不自由、眼の状態、手術によって期待できる効果やリスクなどを踏まえて、主治医と十分に相談して決めることが大切です。

ただし、これは「見えにくくても、困るまで受診しなくてよい」という意味ではありません。

まず眼科で見えにくさの原因や眼の状態を確認し、そのうえで手術を受けるか、経過を見るかを相談する。これが大前提です。

今回は、その相談の参考になる、一般的な判断のポイントをご紹介します。

1.「かすむ=白内障」と自己判断しないでください

ネットで白内障の症状を調べると、「目がかすむ」「まぶしい」「見えにくい」といった説明が出てきます。

こうした症状から、「年齢的にも、きっと白内障だろう」「まだ車を運転できているから大丈夫」と考え、受診せずに様子を見ている方もいらっしゃいます。

しかし、かすみ目や見えにくさは、白内障だけに起こる症状ではありません。

角膜や網膜、視神経など、ほかの部分の病気が原因になっている場合もあります。症状だけで、ご自身で原因を判断することはできません。

また、すでに白内障と診断されている方でも、新たな見えにくさがすべて白内障によるものとは限りません。別の病気が重なっている可能性もあります。

見え方に変化があれば、年齢や白内障のせいと決めつけず、まず眼科で原因を確認しましょう。

特に、急に見えにくくなった場合や、眼の痛み・強い充血を伴う場合は、早急な受診が必要です。

 

2.白内障と診断されたら、すぐに手術が必要?

白内障は、眼の中でレンズの役割をしている「水晶体」が濁る病気です。原因はいくつかありますが、多くは加齢に伴う変化です。

年齢とともに少しずつ濁りが出てきても、生活にほとんど影響しない方もいれば、まぶしさやかすみなどで不自由を感じる方もいます。

そのため、白内障があることと、今すぐ手術が必要なことは、同じではありません。

診察で眼の状態を確認し、急いで手術を考える理由がなく、日常生活でも困っていなければ、定期的に診察を受けながら経過を見ることも多くあります。

ここでいう「経過を見る」とは、受診せずに放っておくことではありません。

医師から案内された間隔で診察を受け、変化を確認していくことが大切です。

 

3.白内障は視力がいくつになったら手術する?

手術の時期を決める、すべての方に共通した視力の数字はありません。

大切なのは、視力だけでなく、普段の生活でどのようなことに困っているかです。

例えば、次のような変化はないでしょうか。

  • 眼鏡を合わせても、文字やテレビが見えにくい
  • 仕事や趣味で、細かなものを見るのが難しくなった
  • 屋外の日差しがまぶしく、見えづらい
  • 車の運転で、標識や歩行者を確認しづらい
  • 対向車のヘッドライトがまぶしく、夜の運転がつらい

同じ視力でも、仕事や運転の有無、趣味などによって、感じる不自由は異なります。左右の眼の見え方のバランスも関わります。

診察室で測った視力だけでは分からない困りごともありますので、「どんな場面で見えにくいか」を、具体的にお伝えください。

白内障のサインを日常からチェック

 

4.車を運転する方は、免許更新も一つの目安に

普通免許の視力基準は、原則として「片眼それぞれ0.3以上、両眼で0.7以上」です。眼鏡やコンタクトレンズで矯正した視力でも構いません。

※一眼が0.3未満の場合などには、もう一方の眼の視力と視野による別の基準があります。また、免許の種類によって基準は異なります。

運転される方にとって、この基準は手術の時期を考える一つの目安になります。

ただし、免許の視力基準を満たしていることと、実際の運転で不自由がないことは別です。

視力が0.7以上あっても、白内障によるまぶしさなどで運転に危険や強い負担を感じる場合には、手術を検討する理由になります。

「まだ運転できているから大丈夫」と自己判断せず、気になる変化があればご相談ください。免許更新が近い方は、余裕をもって見え方を確認しておくとよいでしょう。

 

5.白内障手術で、どこまで改善が期待できる?

検査で白内障が見つかっても、それだけで見えにくさの原因がすべて説明できるとは限りません。

緑内障や網膜の病気、角膜の病気などが視力低下に関わっている場合には、白内障手術を受けても、期待していたほど見え方が改善しないことがあります。

一方で、眼鏡の度数を調整することで、見えにくさが改善する場合もあります。

手術を考える際には、白内障が見えにくさにどの程度関わっているのか、手術によってどの程度の改善が期待できるのかを確認します。

ほかの病気があるから手術を受けられない、ということではありません。

改善が期待できる部分と、改善が難しい部分を理解したうえで、手術を受けるかどうかを相談することが大切です。

 

6.白内障手術は早い方がよい? 早めの手術を考える場合

私は、生活に困っておらず、眼の状態からも手術を急ぐ理由がない方に、一律に早い手術をお勧めすることはしていません。

一方で、ご本人があまり不便を感じていなくても、眼の健康や手術の安全性を考えて、早めの手術をご提案する場合があります。

白内障手術時期の判断ポイント

眼の奥の検査が難しくなってきた場合

白内障の濁りが強くなると、診察する側からも眼の奥の「眼底」が見えにくくなります。

網膜などの状態を十分に確認できないと、ほかの病気の発見や、すでにある病気の経過観察が難しくなることがあります。

必要な眼底検査に支障が出てきた場合には、その点も説明したうえで、手術をお勧めすることがあります。

眼圧が急に上がる発作などが心配される場合

眼の中の水の出口にあたる「隅角」が狭い方では、水晶体の厚みなどが関係して、水の流れが妨げられることがあります。

眼の状態によっては、眼圧が急激に上がる発作を防ぐための治療として、白内障手術を検討する場合があります。

ただし、隅角が狭い方すべてに手術が必要ということではありません。検査結果から、治療の必要性や方法を個別に判断します。

進行を待つことで、手術が難しくなる可能性がある場合

白内障が進み、水晶体の中心部分である「核」が非常に硬くなると、手術で取り除く際の負担が増すことがあります。

また、水晶体を支える組織が弱くなっている方などでは、白内障の進み具合も踏まえ、早めの手術を検討する場合があります。

手術機器や技術は進歩していますが、どこまで進んでも手術の難しさが同じ、というわけではありません。

「早ければ早いほどよい」ということではなく、眼の状態によっては、進みすぎる前に手術を受ける方がよい場合もある、ということです。

 

7.強い近視や、左右の度数差も判断材料になります

白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、代わりに眼内レンズを入れます。その際には、術後にどのくらいの距離にピントを合わせるかも相談します。

強い近視の方では、白内障による見えにくさの改善に加えて、近視の度数を軽くできることもあります。

また、左右で近視や遠視の度数が大きく異なる方では、その差を小さくすることで、眼鏡を使いやすくできる場合があります。

私は、こうしたメリットが見込める方には、その点も説明し、手術を考える材料にしていただいています。

ただし、近視を軽くすると、これまで裸眼で見えていた手元に眼鏡が必要になることもあります。また、強度近視に伴う網膜などの変化が治るわけではなく、手術のリスクについても個別に確認が必要です。

度数をどのように設定するかによって術後の見え方も変わるため、両眼のバランスを含め、生活に合う見え方を十分に相談することが大切です。

 

8.まとめ:まず眼の状態を知り、主治医と相談しましょう

白内障手術の時期は、「視力がいくつか」「何歳か」だけでは決まりません。

日常生活での困りごと、眼の状態、期待できる改善、手術のリスク、そしてご本人の希望を合わせて考えます。手術後には通院や点眼も必要になるため、生活や予定についても相談しましょう。

大切なのは、見えにくさを自己判断せず、まず診察で原因を確認すること。そのうえで、主治医と十分に相談して、ご自身に合った時期を考えることです。

白内障は、診断されたらすぐに手術が必要なわけでも、できるだけ長く待てばよいわけでもありません。

「運転が不安になってきた」「仕事で見えにくくて困る」「今は困っていないけれど、待っていて大丈夫だろうか」

そうした疑問や困りごとを、遠慮なく主治医にお伝えください。

眼科で考える、あなたに合う時期

 

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眼の状態や生活での困りごとを確認しながら、治療の方針を一緒に考えていきます。

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