
最近、子どもの近視が増えていることが問題になっています。
枚方市樟葉のいしの眼科クリニックでも、お子さんの近視について、保護者の方からさまざまな質問をいただきます。
「眼鏡をかけると、かえって近視が進みませんか?」
「暗いところで本を読むのはよくないですか?」
「スマホやゲームは、やっぱりやめさせた方がいいのでしょうか?」
子どもの近視には遺伝的な要因だけでなく、日常生活の環境も関係していると考えられています。ただし、近視が進む仕組みには、まだ十分に解明されていない部分もあります。
今回は、現在わかっている医学的な知識をもとに、子どもの近視と生活習慣について、よくある疑問にお答えしたいと思います。
1.眼鏡をかけると近視が進むって本当?

「眼鏡をかけると目が悪くなるので、なるべくかけさせない方がいいのでは?」という質問をいただくことがあります。しかし、適切な度数の眼鏡をかけることで近視が進むという医学的な根拠はありません。
以前は、近視を進ませないために眼鏡の度数をわざと弱くする「低矯正」という考え方もありました。しかし、現在の研究では、低矯正による近視進行抑制効果は認められておらず、逆に進行を早める可能性を示した研究もあります。
遠くが見えにくいのに、無理に眼鏡を我慢する必要はありません。一方で、近視の程度や年齢、日常生活の状況によって、眼鏡が必要な場面は異なります。
大切なのは、眼科で適切な度数を確認し、必要な場面で正しく眼鏡を使うことです。
2.暗いところで本を読むと近視が進む?

昔から「暗いところで本を読むと目が悪くなる」とよく言われています。確かに、暗いところでの読書は文字が見えにくく、目の疲れにつながることがあります。
ただし、暗いところで本を読むこと自体が、直接近視を進行させるとまでは証明されていません。
むしろ注意したいのは、本やノートを目に近づけすぎたり、長時間続けて近くを見たりすることです。読書や勉強の際には、次のようなことを心がけましょう。
- 本やノートは目から30cm以上離す。
- 20〜30分に一度は近くを見る作業を中断し、遠くを見る。
- 読書や勉強に十分な明るさを確保する。
暗いところで読書をしたからといって、過度に心配する必要はありません。しかし、適切な明るさと姿勢で読む習慣をつけることは大切です。
3.スマホやNintendo Switch 2は近視に悪い?

スマートフォンやゲーム機については、保護者の方から特に多く質問をいただきます。スマホやゲームが近視に関係すると考えられている理由の一つは、画面を近い距離で長時間見続けやすいことです。
ただし、近くを見る作業はゲームだけではありません。読書や勉強、絵を描くことなども同じです。もちろん、スマホやゲームを長時間続けることには注意が必要ですが、ゲーム機そのものが特別に近視を進めると断定できるわけではありません。
例えばNintendo Switch 2では、手元の画面を見ながら遊ぶ携帯モードと、テレビにつないで遊ぶテレビモードがあります。テレビモードで適切な距離をとって遊べば、携帯モードよりも遠くを見ることになります。
その意味では、近くを見続ける時間を減らせるという利点が考えられます。ただし、テレビモードで遊べば近視の進行が抑えられると、医学的に証明されているわけではありません。
大切なのは、ゲームを禁止することではなく、使い方を工夫することです。例えば、画面をできるだけ離して見る、長時間続けない、途中で休憩して遠くを見る、といったことが考えられます。
スマホもゲームも子どもたちの生活の一部になっています。無理にすべてを禁止するより、親子で無理なく続けられるルールを考えることが大切だと思います。
4.外で遊ぶと近視の予防になる?

これは、現在の近視研究の中でも、比較的はっきりとした効果が確認されている生活習慣です。屋外で過ごす時間を増やすことは、子どもが新たに近視になるリスクを減らすことにつながります。
目安として、1日合計2時間程度の屋外活動が推奨されています。屋外活動というと、スポーツや激しい運動を想像するかもしれませんが、必ずしも運動する必要はありません。
散歩をしたり、公園で過ごしたり、学校の休み時間に外へ出たりすることも屋外活動になります。また、直射日光を浴びる必要はなく、木陰や建物の陰、曇りの日でも、一般に室内より十分に明るい環境が得られます。
ただし、ここで一つ注意したい点があります。屋外活動による効果は、まだ近視になっていない子どもの近視発症予防について、特に強い医学的根拠があります。
すでに近視になっている子どもの進行をどの程度抑えられるかについては、研究結果が必ずしも一致していません。それでも、屋外で過ごす時間を確保することは、子どもの健康全般にとってもよい習慣です。
毎日必ず2時間と考えると難しいご家庭もあると思います。まずは学校の休み時間や休日など、できるところから屋外で過ごす機会を増やしてみましょう。
5.生活習慣に気をつければ、近視は進まない?
残念ながら、生活習慣に十分気をつけていても、近視が進む子どもはいます。近視の進行には遺伝的な要因も関係しており、生活習慣だけですべてをコントロールすることはできません。
例えば、外でよく遊んでいても近視が進む子どもがいる一方、近くを見る時間が長くても、あまり近視が進まない子どももいます。
だからといって、生活習慣を気にする必要がないということではありません。医学的に効果が期待できることを、できる範囲で取り入れていくことが大切です。
また、近視が進んでいる場合には、生活習慣の改善だけでなく、眼科で近視の程度や進行状況を定期的に確認することも重要です。
6.まとめ:できることから、無理なく取り組みましょう
子どもの近視については、多くの研究が進められていますが、まだわかっていないことも少なくありません。
「スマホを見せてしまったから」「ゲームを長時間させてしまったから」と、保護者の方が必要以上に自分を責めることはありません。また、近視の予防を意識するあまり、子どもの楽しみや日常生活を過度に制限してしまうことも望ましくないと思います。
適切な眼鏡を使うこと、近くを見るときは距離や休憩に気をつけること、屋外で過ごす時間を増やすこと。こうした工夫を、できる範囲で少しずつ取り入れていきましょう。
近視について、すべてがわかっているわけではありません。しかし、だから何もしなくてよいということでもありません。
子どもたちが楽しく、健やかに成長していけるように、無理のない生活習慣を考えていきたいですね。
お子さんの近視の進行や、眼科で行う近視進行抑制治療について詳しく知りたい方は、当院の「近視進行抑制治療」のページもご覧ください。


