緑内障と薬の疑問ガイド

「内科の先生から、私の緑内障が『開放隅角』なのか『閉塞隅角』なのか、眼科で確認してくるように言われました」

当院でも、このようなお問い合わせをいただくことがあります。

また、市販の風邪薬や睡眠改善薬などに「緑内障の方は注意」と書かれているのを見て、心配になった方もいらっしゃると思います。

「緑内障があると、飲めない薬があるの?」

実は、緑内障だからといって、すべての方が同じように薬の使用を制限されるわけではありません。

その違いを理解するために大切なのが、「開放隅角」「閉塞隅角」という言葉です。

 

1.開放隅角・閉塞隅角って何?

私たちの眼の中では、「房水(ぼうすい)」という透明な液体が作られ、眼の中を循環しています。

この房水は、眼の中にある排水口のような場所から、少しずつ排出されています。

その排水口があるのが、角膜(黒目の表面)と虹彩(茶目)の間にある「隅角(ぐうかく)」という部分です。

隅角が広く開いている状態を「開放隅角」、狭くなっている状態を「狭隅角」、ふさがっている状態を「閉塞隅角」といいます。

隅角が狭い方では、何らかのきっかけで房水の出口がふさがり、眼圧が急激に上がることがあります。

なお、開放隅角だから緑内障ではない、ということではありません。実際には、日本人の緑内障の多くは開放隅角のタイプです。また、狭隅角でも緑内障になっていない方もいらっしゃいます。

房水の流れと隅角の解剖図

 

2.なぜ薬に注意が必要なの?

一部の風邪薬、鼻炎薬、睡眠改善薬などには、瞳孔(ひとみ)を広げる作用を持つ成分が含まれています。

隅角が狭い方では、瞳孔が広がることで房水の出口がふさがりやすくなり、急激に眼圧が上がる「急性緑内障発作」を引き起こすことがあります。

そのため、内科の先生や薬剤師さんが、緑内障の種類を確認されることがあるのです。

ただし、すべての緑内障の方がこれらの薬を使えないわけではありません。また、眼の状態やこれまでに受けた治療によっても判断が異なります。

お薬を自己判断で中止したり、反対に「自分は大丈夫」と考えて服用したりせず、医師や薬剤師に確認することが大切です。

隅角閉塞を示す眼球断面図

 

3.緑内障ではなくても「狭隅角」の方がいます

眼科で「緑内障ではありませんが、隅角が狭いですね」と言われる方がいらっしゃいます。

これを「狭隅角(きょうぐうかく)」といいます。

狭隅角は、それだけで緑内障というわけではありません。

ただし、隅角が十分に開いている方と比べると、急性緑内障発作を起こしやすい眼の状態にあります。

とはいえ、狭隅角だからといって、必ず緑内障発作が起こるわけではありません。生涯、発作を起こさずに過ごされる方も多くいらっしゃいます。

必要以上に心配することはありませんが、ご自身の眼の状態を知り、いくつかの注意点を理解しておきましょう。

 

4.狭隅角の方が日常生活で気をつけたいこと

お薬について

風邪薬や睡眠改善薬などに「緑内障の方は注意」と書かれている場合には、自己判断で使用せず、医師や薬剤師に確認しましょう。

暗い場所での読書やスマートフォンについて

暗い場所では瞳孔が広がるため、隅角が狭い方では眼圧が上がりやすくなることがあります。

特に、就寝前に暗い部屋でうつ伏せになって本を読んだり、長時間うつむいてスマートフォンを見たりするようなことには注意しましょう。

もちろん、暗い場所にいることや、下を向くこと自体がすべて禁止というわけではありません。

普段の生活を必要以上に制限するのではなく、少し気をつけていただければと思います。

夜のベッドで読書する女性

 

5.急性緑内障発作とは?

急性緑内障発作では、眼の中の水の出口が急にふさがり、眼圧が著しく上昇します。

代表的な症状として、次のようなものがあります。

  • 突然の強い目の痛み
  • 急な見えにくさ、かすみ
  • 目の充血
  • 頭痛や吐き気、嘔吐

ただし、目が赤くなったり、少し痛みを感じたりしたからといって、必ずしも緑内障発作というわけではありません。

また、発作でもすべての症状がそろうとは限りません。

急性緑内障発作が疑われる場合には、夜間や休日であっても、速やかに眼科へ相談してください。

症状が軽かったり、一時的に治まったりした場合でも、自己判断で何日も放置せず、早めに眼科を受診することが大切です。

 

6.まとめ

緑内障と診断されている方は、ご自身が開放隅角なのか、閉塞隅角なのか、一度かかりつけの眼科で確認しておくと安心です。

また、緑内障ではなくても「狭隅角」と言われた方は、お薬や日常生活での注意点を知っておきましょう。

狭隅角の程度や眼の状態によっては、経過観察だけでなく、治療を検討する場合もあります。

大切なのは、必要以上に怖がることではなく、ご自身の眼の状態を正しく理解し、適切に対応することです。

不安なことやわからないことがあれば、診察時にお気軽にご相談ください。

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